昨日の日記の続きです。

 

検査が終わって、診察室に入り、
入院の説明を受ける。
約定書に署名があるので、二人で話を聞いた。

 

いやだ。 
入院しない。

 

花子さんが突然、大きな声を出し始めた。
僕が、

 

大丈夫だよ。
体の悪いところを見つけて、
それを治すための、入院だから。
それさえ終われば、すぐ退院できるから。

 

Dr.からも、

 

早く検査して、治療をして
早く良くなるのが、
花子さんにとって、一番良いことですから、

 

いいの!

 

Dr.の話をさえぎって、
声を荒げる。

 

大丈夫だよ。
僕がついているから、大丈夫だよ。

 

何をするの

 

検査入院だから。
それで、悪いところを見つけて治せば、
また、出かけられるから。
美味しい物を、食べに行こう。

 

行かない!
いいの、いいの、
死んでもいいの!

 

そんなこと言わないの。
大丈夫だよ。
安心して任せれば、大丈夫。
ずっと一緒だから、心配しない。

 

始めて聞く 「死んでもいい」 ・・・
ショックな言葉だ。

 

いやだ!!

 

これから、検査をしますから、
一度、上のほうにあがりましょう。

 

行かないよ!

 

Dr.が診察室を出て、入院病棟へ行く。
僕たちもついていった。

 

その間、花子さんは、ずっと、

 

いやだ!

 

を繰り返す。

 

肩を抱きながら、何度も、同じ説明をして、なだめる。

 

エレベーターに乗って、精神科の入院病棟へ行った。
前回は、開放病棟だったが、
今回は、閉鎖病棟だ。

 

行かない!!
絶対、入らない

 

入り口に着く。
インターホンで看護士を呼び、
鍵で、ドアを開けてもらう。
すぐにもう一枚ドアがあり、ここも鍵がかかっている。

 

  閉鎖病棟は、出入りが制限される。
  面会の時は、毎回看護士を呼び、
  1枚目のドアを開けて、そこで危険物がないか
  持ち物検査をしてから、2枚目のドアを開けて入る。
  危険物といっても、紐、ガラス瓶、爪きり、はさみ程度の物。

 

病室は、個室だ。
鍵を開けて、入った。
花子さん、

 

こんなとこで、寝るの!!
やだ!絶対いやだ!!

 

大丈夫、一人のほうが、気兼ねないだろ。

 

じゃあ、自分が泊まれ。

 

花子の病気を治さないと。

 

知らないよ、そんなこと。
全然わかんない。

 

気持ち悪くて、お腹痛いんだろ。

 

やだ!!

 

僕につかみかかってきた。
看護士さんが、離そうとする。

 

大丈夫です。
少し話してみます。

 

Dr. 看護士が出ていって、二人になる。

 

何で、こんなとこに入らないといけないの!!

 

今の悪いところを治すんだから。
肝臓が悪いって分かったんだから、すぐに治るよ。

 

いやだ!

 

ゴミ箱、ベッドを蹴飛ばす。
僕に、殴りかかってくる。

 

音を聞いて、看護士が入ってきた。
花子さん、わめき始めた。
大きい声で、怒鳴り散らす。

 

止めに入った看護士にも、
手を上げ、蹴飛ばしだす。

 

いやだ!

 

やめろ!

 

どうでもいい!

 

かえる!!

 

長い長い時間だった。

 

看護士が集まってきて、
部屋には5人いた。

 

花子さんは、わめく。
僕は、一生懸命なだめようとして、
声を掛け、ハグをした。
落ち着かない。

 

何度も、同じことを繰り返す。

 

花子さんは、もう何も見えていない。
恐怖の感情だけで、動いている。

 

Dr.が花子さんと僕を、離そうとした。

 

ご主人に、お話がありますから、
ちょっと待ってて下さいね。

 

いやだ!
はなせ!!

 

ドアを出て、部屋を見ると、
花子さんの両腕を、
看護士がつかんで、止めている。
フロアー中に、大きな声が響いた。

 

悲しく、辛い。
別の部屋に通され、椅子に座ったが、
全身の力が抜け、動く気力もなかった。

 

しばらくして、消化器科と、精神科のDR.
二人が入ってきた。

 

どうですか。

 

落ち着かれましたよ。
今、椅子に座って、看護士と話しています。

 

良かったです。

 

病気の説明と、治療方針、手術方法の説明を受ける。
食事をすることができないので、
24時間、手術が終わる日まで
点滴を受ける説明、合わせて、
勝手に抜かないように、身体拘束の話があった。

 

今日の状況を見ると、身体拘束も
仕方ないと、思われているかもしれませんが、
今は、急な入院で興奮しています。

 

普段は、にこやかで、
穏やかで、優しい性格です。
説明すれば、話もちゃんと分かるんです。

 

身体拘束をしない方法を選べませんか。

 

花子さんの場合、手術をするために、
食事をとらず、点滴で栄養補給をしているということが
理解できないと思います。
邪魔で抜いてしまうことが、考えられます。

 

今は、無事に手術を済ませるということを
第一に考えましょう。
そのためには、点滴が
安全に行われる必要があります。

 

トイレはどうするんですか。

 

オムツということもあります。

 

今は、こちらから声を掛けて、
誘導してあげれば、
一人でトイレに行くことができます。

 

家から、病院へ入院という環境変化、
身体拘束、
さらに、オムツとなると、
心配が大きいです。

 

若年性アルツハイマーですので、
記憶力や、判断力の低下はありますが、
喜び、悲しみ、辛さといった感情は、
ちゃんと残っています。

 

精神的なショックが大きくなると、
認知症の進行も、変わってきます。
人としての、尊厳は守ってあげたいです。

 

良く分かります。
我々としても、できる限り避けては行きたいんです。
ただ、今は体の症状が良くありません。
手術にもリスクがあります。

 

安全に行うための方法を、優先させましょう。
オムツは、様子を見てみます。

 

仕方ないんでしょうかね。
入院と言うことも、理解できていないのに、
これから、点滴と、手足にベルトをかけられると言うのは、
ショックだと思います。

 

明日、着替えを持って面会に来たとき、
本人は、嫌だと訴えるでしょうね。

 

面会についても、
ご主人の顔を見れば、
帰りたい。
なんで、帰してくれないの。
と、訴えると思うんです。

 

一日たって、やっと入院を受け入れようとしているときに、
動揺させたくないんで、
手術が終わるまで、控えていただきたいです。

 

そうですか・・・
多分、明日顔を見たら
また、同じ繰り返しになるかも知れません。
前回入院した時も、同じようなことがありました。

 

途中から、看護士もお二人入ってきた。

 

落ち着きましたか。

 

暴れることはないですけど、
ドアの鍵を開けようとしたり、
窓から、ご主人のことを探したりしています。

 

「先ほどはすみませんでした。」と、おっしゃっていました。

 

ありがとうございます。
では、明日様子を伺いに来ます。
よろしくお願いします。

 

部屋を出ようとしたら、
花子さんは、出入り口のドアに立ち、
ずっと外を見て、僕を探していた。

 

看護士さんが、部屋に入れてくれて、
その間に、僕が出た。

 

 

 

 

家に着き、昼食もとっていないのに
気がついた。

 

冷蔵庫にある、冷凍のシューマイと、
魚を、温めて、日本酒を飲む。

 

酒を飲みながら、

 

花子さんが、看護士に腕をつかまれ、
  部屋を出て行く僕に、叫んだ姿。

 

帰り際、ドアのところに立ち、
  僕を探している、不安な表情。

 

目に焼きついていて、頭の中に浮かんでくる。

 

拘束をされながら、
  点滴を受けている姿を想像すると、

 

かわいそうで、 辛くて、 悲しくて、
涙があふれ、止まらない。

 

一緒にいてあげたい。
励ましてやりたい。
手を、握っていてあげたい。

 

 

 

 

辛い

 

 

 

 

 

 

 

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