僕が、花子さんの病院へ行くのは、
いつも、5時半頃。
 
行く日は、
とりあえず、5時に仕事を終わらす。
 
花子さんの、着替えを用意して、出発。
幸い、病院が近くなんで、助かっている。
 
病院は、一番忙しい時間だ。
5時になると、大勢いた看護師さんたちが、
仕事を、終える。
 
それからは、夜勤の3人体制。
5時ごろから、夕食の準備。
皆を、デイルームに連れてくる。
 
一人一人に、お茶とおしぼりを出し、
それぞれに合った、晩御飯の準備。
 
6時ちょうどに、夕食が運ばれる。
お世話をしながら、
全員が食べ終わるのが、6時40分ごろ。
 
それから消灯で、
皆さんを、部屋に誘導。
半数は、車椅子の方だ。
 
 
 
そんな、一番忙しい時間に、
病院へ行く。
 
スタッフには、申し訳ないけど、
にこやかに、応対してくれるので、
ありがたい。
 
僕が行ったときは、
いつも、面会室に、通してくれる。
 
6時になると、食事が運ばれ、
2人だけにして頂き、
花子さんの、夕食介助。
 
夕食が終わったら、
花子さんを、洗面所に連れて行き、
歯を磨いてあげる。
 
病院の歯磨きは、
昼間の1回だけ。
しかも、歯磨きを飲み込むといけないので、
歯磨きは付けずに、こするだけ。
 
どうしても、磨ききれないので、
僕が行ったときは、
必ず、念入りに、磨いてあげる。
 
歯磨きが終わる頃になると、
照明が、徐々に消される。
 
僕は、花子さんの目を盗み、
そっと、帰る。 
 
花子さんは、急にいなくなった僕を探して、
うろうろする。
 
仕方がない。
ここで、
 
じゃあ、帰るよ。
 
なんて言うと、
 
いやだ。
いっしょにかえる。
 
と、大騒ぎになる。
あとは、看護師さん達に、お任せする。
 
 
 
 
昨日も、いつもの時間に、
病院へ行った。
 
デイルームにいる花子さんを、探した。
少し離れたところに、座っている。
 
看護師さんが、連れてきてくれた。
 
花子さん、
 
 
泣いていた。
 
 
ぼろぼろ、涙を流している。
 
ほら、大好きなご主人が来てくれたよ。
 
僕を見つけ、
 
あ~
よかった~~
 
もっと、泣き顔になった。
 
どうした。
なんで泣いているの?
大丈夫だよ。
 
花子さんを、ハグして、
頭を撫でた。
 
よかった~
  エ~~ン
 
面会室に、通してくれた。
 
どうしたんですか?
 
最近、夕方になると、泣くことがあるんです。
寂しいのかな。
 
合わない人がいっるって、聞いたんですが、
どうですか。
 
最近は、席も離しているので、
あまり、もめることはないです。
 
世話好きの人なので、
最初は良かったんですが、
いつも、まとわりつかれて、
花子さんが、手で、押してしまったんです。
 
認知症病棟だしな。
個性があるのは、仕方がない。
その人は、入院したばかりなので、
周りの環境に、慣れれば、
お互い、落ち着くだろう。
 
看護師さん達は、
皆、花子さんに、良くしてくれるので、
お任せする。
 
看護師さんと話している間に、
花子さんの、笑顔が戻ってきた。
 
よかった~
うれしいな~
 
大丈夫?
 
だいじょうぶ。
 
泣いたりして、
何か、嫌なことでもあったの?
 
ないよ。
 
じゃあ、涙が自然に出てきたんだ。
 
うん。
 
僕もいるし、看護師さんたちも優しいから、
大丈夫だよ。
 
うん。
 
花子さん、泣いていたのも忘れ、
明るかった。
 
 
 
トイレも済ませ、そろそろ帰る頃、
花子さん、疲れたのか、
僕の後ろを、トボトボと歩いていた。
 
廊下を、スッと曲がり、デイルームへ行く。
ナースステーション越しに、
花子さんが歩いているのが、見える。
 
そのまま、ゆっくり歩いている。
 
看護師さんに、裏の出口を開けてもらって、
外に出た。
 
 
 
いつも、思う。
自分のことを、言葉で表すと、
 
ずるいなー
 
と。
 
 
花子さんは、傷ついて、寂しい思いをしているのに、
逃げるようにして、病院を出る。
 
会った時の喜びと、
短い時間を一緒に過ごし、
晩御飯を、食べさせる時はいいが、
毎回、今日は、どうやって、帰ろうか。
と考える。
 
そして、だますようにして、
病院を出てくる。
 
お互い、切なくて、つらい時だ。
 
 
 
昨日、花子さんが泣いていたこと、
そして、そっと出たことが気になって、
今日も、病院へ行ってきた。
 
明日の日曜日は、外出届けを出し、
家に連れてくるんで、
行かなくても、良かったんだけど。
 
 
 
今日は、デイルームで、椅子に座って、
手枕にし、顔を伏せて、寝ていた。
 
花子さん、
寝ている場合じゃないですよ。

 
パッと、顔を上げる。
 
びっくりした~
いたの?
 
今、来たんだよ。
 
よかった。
うれしいな
 
いつもの、ニコニコ顔だ。
 
 
 
面会室で、ご飯を食べながら、話す。
 
今日は、絶好調。 
 
昨日、調子悪そうだったんで、
心配で、来たんだよ。
 
泣いていたことは、言わない。
 
きのう来たの?
しらなかった。
 
大丈夫そうだな。
 
だいじょうぶ。
 
明日は、どこかに、出かけよう。
紫陽花は、まだ早いかな。
 
薔薇は、まだ大丈夫かも。
港の見える丘公園でも行くか。
 
いきたいな
 
 
大丈夫そう。
 
今日は、病院から出る時、
 
ずるい。
 
と言う言葉は、浮かんでこなかった。
 
 
 
 
さて、晩御飯。
日記が遅れているんで、
ずいぶん、溜まっている。
 
花子さんは、豚肉煮定食。
 
豚肉煮定食 
 
そして、今日は、ハンバーグ定食
いつも、最後に、ちょっと味見をするが
美味い。
 
ハンバーグ定食 
 
僕は、病院から帰って、
ランと散歩していたら、
どこからともなく、煮物の匂いが。
 
帰り際、近所でも、同じ匂い。
どうしても、肉じゃがが食べたくなったんで、
圧力鍋で、一人前作った。
あとは、ブリの塩焼きと、納豆。
 
肉じゃが鰤塩焼き 
 
〆に、小腹がすいたんで、蕎麦。
 
締め蕎麦 
 
 
 
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