ここんとこ3~4日間は、
花子さん、非常に機嫌が悪い。

ずっと怒鳴って、怒りモード満載。

夜も部屋で声を出していて、
あまり寝ていないようだ。

昼間は、ナースステーションにいることが多い。
認知症病院は、敏感な人もいるので、
不穏状態の人がいると、
伝染することがある。

ナースステーションの看護師は、
時々声をかけながら、
仕事をしている。

横には、CDプレイヤーが置いてあり、
花子さんが落ち着くように、
ずっと童謡が流れている。

いつもだと音楽を聴くと
手を叩きながら、
一緒に口ずさむのだが。

その効果、
全くなし。


朝食、昼食は大変なようだ。
なかなか口を開けないし、
口に入れても噛まないで、
話をしだす。

機嫌が悪いと、口の中に入っている食べ物を、
遠くに飛ばすように、
噴き出す。



僕は、その間も、
夕方に、ずっと病院へ行っているが、
なかなかご機嫌が良くならない。

何かに向けて、怒っている。
怒鳴り声が、病棟に響く。


廊下を散歩すると、
いつもの洗面台の前。

そこは、花子さんがご機嫌になる場所だ。

鏡に映った花子さんと僕を見せ、

ほら、
花子ちゃんだよ。

こっちの人は誰だ?

お父さんだよ。

と言うと、必ずゲラゲラ笑いだす。

今回は、鏡の前もダメ。
叩こうとして、鏡と喧嘩が始まる。

そりゃそうだ。
鏡に映っている人は、
目がつりあがって、
一緒になって怒っている。

自分が映っているとは思わない。
怒っている女の人がいるんで、
さらにおこると、鏡の中も怒る。


すれ違った看護師さんが、
ご機嫌を取ろうと話しかけると、
目をむき出しにして吊り上げる。



こりゃだめだ。

面会室に行って、食事。

何度か噴きだすが、
なだめて、食べさす。

花子さんは、声が出ている時と、
何か口に入っていると、
絶対に食べない。

飲み込んだり、息をつく瞬間を狙って、
スプーンの先を唇に当てると、
口を開ける。

狙い澄まして、口に入れる。

時間がかかるはずだ。



病棟を出る時、看護師さんに聞いた。

あまり調子が良くないみたいですね。

そうですか。
申し送りはありませんでしたけど。


ずっと怒ってました。

声が出てるだけで、大丈夫ですよ。

なるほど、

病院では、熱があったり、咳をしていると
調子の悪い部類なんだが、

大声を出すのは、
どうってことないんだ。

ちょっと、安心。



今日、いつものようにまた行く。

病棟の前で鍵を開けてもらうので、
インターホンを押す。

出てきた看護師さんが、

花子さん、今日はご機嫌ですよ。

そうですか。
ありがとうございます。


僕が気にしているのを聞いて、
伝えてくれたようだ。


デイルームへ行った。

花子さん、落ち着いて座っている。

面会室を他の人が使っているので、
どこで食事をするか、看護師さんと話していた。

そうすると、

花子さん、僕を見つけて、

わあ~~~

大声を出して、喜んだ。

少し離れているところなのに。

車椅子に座っている状態で人を見るのは、
顔を上げないといけない。

下を向いていることが多いのに、
顔を上げたんだ。

しかも、

僕を、ちゃんと確認できた。

大好きなお父さんが来たというのがわかった。


いつもだと僕を認識させるのは、
一生懸命話しかけて、

お父さんだよ

と、言い続けて、ようやく、わかる。
それが、話しかけることもしていないのに、
自分で見つけて、声を出した。

すぐに駆け寄る。

お父さんだよ。
よくわかったね。

うん。

うれしい?

うん。

顔を、くしゃくしゃにして喜んだ。

散歩している間も、
ずっと笑顔。

僕の方を見て、
目を合わせると、ニコニコする。



奇跡が起きた。(momoさん風



晩御飯も機嫌よく食べる。

昨日までの不安定の状態はなんだったんだろう。

急に寒くなった、季節の変わり目を
敏感に感じたのか。

その前熱を出したので、それが尾を引いたか。



食事が終わって、
車椅子に乗せ、部屋に移動。

いつもだと眠くなるのだが、
元気だ。

ベッドの横に椅子を固定。
ここから先は、
看護師さんがオムツ交換をして、
ベッドに寝かす。

部屋を出ようとした。

入院して3年10か月になるが、
今まで、帰るときに一度も、

帰るよ。
また明日来るね。


は、言ったことがない。
僕がその場からいなくなるのを知らせたくないからだ。

今日も、そのまま部屋を出ようとした。

なんと、目で僕を追っかけているではないか。
しかも、ニコニコして。
ずっと見ている。


見送りをするなんて、これまでなく、
初めてのことだ。


思わず、引き返してしまった。
手を握って、もう少しおしゃべり。

そして、部屋を後にした。



もう、僕のことはわからなくなっている。

そう思っていた。

実際、夫としての僕は、わからない。


でも、今一番好きな人と言うのはわかっている。





では、晩御飯。

花子さんは、 カレーシチュー定食。
カレーシチュー定食

僕は、激辛のマーボー豆腐
あと、鶏の塩焼き、庭になっていた茗荷を
たっぷりかけた。
お酒は続けて、惣誉。
激辛マーボ豆腐、鶏焼き茗荷かけ 


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