花子さんは、言葉がなくなってきている。

声は出るが、文章、単語ではなく、
文字の積み重ね。

表情を見ながら、意味を探る。


僕は、必ず相槌をして、同調。

そうか、よかったね。

うんうん、だいじょうぶだよ。


最後に、おかしくてもおかしくなくても、
声を出して、大笑いをする。

そうすると、花子さんもつられて、
笑い出す。

笑い声の合唱だ。

病棟にいる人が振り向くこともあるけど、
そんなの関係ない。

いつも声を出して笑いで締めくくる。
これが僕の介護のコツかな。



今日は、すごく調子が良い。

歩くのも猫背にならず、
体が起きている。

今日は調子いいね。
気持ちいいね。


うん。

オッ!返事が返ってきた。

ご機嫌よく廊下を散歩。

いつも起こる足腰の痛みも訴えない。

椅子に座って、晩御飯が運ばれてくるのを待つ。



その間は、お顔の手入れ。
おしぼりを見せて、

顔を拭いてもいい?

  花子さんの体に触れるときは、
  必ず、確認を取る。

  急に顔を拭きだすとびっくりする。
  どんなに優しく拭いてあげても、
  声を出して怒り出す。

  ご飯を口に運ぶ時、
  お茶を飲ませるとき、
  歯磨き、
  必ず伝えてから。


そうしたら花子さん、

うん、いいよ。

エッ!!こたえてくれたの!?
ありがとう。


すごい。
返事をした。

『うん、いいよ』の言葉を出すには、
頭の中はフル回転のはずだ。

僕が言ったことをわかって、
『うん』

同時に、質問を理解している。

『いいよ』なんて、
許可をして、お願いしますという意思表示。

しかも、明瞭な発音。
脳からの指示が、
しっかりと声帯と舌に伝わっている。


顔にタオルを当て、
ぐるぐる回しながら拭く。

僕が

ふぁぁーー!

と言って、拭き上げると、

花子さんも一緒に、

ふぁぁ~~

と言う。

二人で、また大笑いだ。

気持ちいいね。

うん。


クリームと、リップをつけて終わり。
たまに、こんな時があるんだな。



廊下を手をつないで歩っていると、
入院している人とすれ違う。

認知症専門病院なので、
すべての人は認知症だが、
持っている疾患
 (疾患:アルツハイマー型、レビー小体型、脳血管性、前頭側頭型等々)
によって出てくる症状は違う。

記憶、判断力がしっかりした人もいる。

同部屋の女性は、すれ違うといつも、

奥さんは、幸せだね~

という。

花子さんが笑っているときは、
僕に、

旦那さんは、幸せだね~

とも。


う~ん、幸せか。

まあ、これまでの大変な状況もあったので、
今は、幸せかも。


さて、晩御飯。

花子さんは、ソーセージ入り野菜煮

ポークソーセージの煮野菜

僕は、鮭のムニエル。野菜もつけた。
牛蒡は、前の日に煮たあまり。

お酒は、京都月桂冠が出している、
福井県産米を100%使用した、
純米酒 福井

福井に住むブログ友達が送ってくれた。

鮭のムニエル 

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19時に病院から戻り、
お袋を布団に入れ、
20時から、僕の好みの飯を作り、
のんびり、テレビを見る。

晩酌をしながら、1時間、
テレビを見て、ゆったりするのが、楽しみ。

テレビは、いつも録画をしている番組。

ドラマ、歌、特番、ニュース・・・
その時の気分で、番組を決める。



今日は、ドラマ。
昨年から溜めおいた番組の、
ようやく最終回を見れた。

題名は覚えていないが、
夫婦で癌になった実話のドラマ化。

これまでの回も、いろいろ考えながら見ていたが、
最終回は、

もうダメ。

自分に置き換えて見てしまった。



涙がボロボロ出て、
終わったらすぐにテレビを消す。

無音状態の中に自分がいる。

頭の中には、花子さんのことだけが、
グルグル回っている。



若年性認知症。



なんて、残酷な病気なんだろう。


52歳で発症し、今は62歳。
僕と二人の歴史、
息子の成長。
その時々に起こる、

感激、感動。

子供の成長と、二人の生活の喜び。
たくさんの迷い、でもそこからの克服。
汗を流し、涙を流し、笑いもたくさんあった、生活。
その中での、充実感。

そんなことも、記憶からなくなる。

すべて。



そして、今の62歳から・・・
迎えたであろう、

喜び、満足、楽しみ、
自由、張り合い、

幸福。

それらの生活も、すべて奪われる。



なんで、こんなことになったんだろう。
涙が止まらない。



もうわかったことで、
それらを乗り越えてきたと思った。
勘違いだった。

いつも、重くのしかかっている。
絶えず、花子さんのことを、考えている。



今までの苦労してきたことを
これから楽しみに変えていくはずだったのに。

花子さんには、何も与えられない。



ドラマは、たくさんの思い出を抱きながら終わった。
でも、認知症にはそれがない。



なんか、



辛い。






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あるところ宛に、
平成27年1月12日時点の、
我が家の状況を報告する必要があり、
箇条書きでまとめました。

これから先、振り返って見直すとき
自分の参考にもなるので、
ここにも載せておきます。

長いので、適当に読み飛ばしてください。



  1.  妻は現在要介護5になり、病院へ入院して
    います。
    すでに4年になりました。重度の状態になり、
    生活面はすべて介護が必要です。
     一人で食事をすることができませんので、毎
    日17時半に病院へ行き食事介助をしています。
    昨年は、年間310回以上病院へ通いました。
    (1週間に一度行かなかったと計算。多分もっ
    と行っていると思う )
     2回誤嚥性肺炎があったため、食事はミキサ

    ー食を勧められていますが、私が介助をするとい
    うことで普通食のままにしていただいています。
     病院は精神科のためリハビリがないので、私が
    行ったときは、毎回車椅子から降ろして歩行運動
    をしています。
     病院へ行かないと、体力、感情ともに症状が急
    激に落ちてしまいますので行って介助をする必要
    があります。

  2.  母を在宅で介護していますが、状況が厳しくな
    ってきています。
     母は今年の2月で88歳になります。元々持っ
    ている難病指定の持病があり、歩行困難から車椅
    子で生活をしています。食事は自分で摂ることが
    できますが、それ以外は、着替え、排せつ、食事
    の準備、就寝等、生活面全般にわたって介護が必
    要です。
     認知症も進行してきておりアリセプト5mgを服
    用しています。見当識障害、うつ症状が出ていま
    す。
     他にも、心臓肥大、高血圧、腎臓病、骨粗鬆症、
    卵巣肥大等の病気を抱えていて、毎週一度は病院
    に通っています。その時は私が付き添いで、診察、
    検査があり、いつも一日掛かりになってしまいま
    す。
     一人にすることができないので、週4日のデイ
    サービス、ヘルパーを使っています。私が留守を
    する時には臨時でサービスを入れて見守りをして
    いただいている状態です。
     寝室は別の部屋ですので、19時、21時、24時、
    4時、7時とトイレの世話と無事に過ごしているか
    見守りをしなければいけません。
     昨年12月に転倒からあばら骨を骨折し、2日
    前にも額と目に大きな青あざを作ってしまいまし
    た。目が離せない状況になっています。

  3.    私は社交不安障害という精神の病を抱えており、
    6年間パキシルという精神薬を飲んでいます。
     昨年4月に2か所の家族会の世話人を受けること
    を主治医に話しましたところ、依存症が出ているの
    で、ドクターストップになりました。
     頼まれごとがあると自分のことを考えずに受けて
    しまい、それをこなすことで達成感の自己満足が起
    こり、限度を考えることができなくなるとのことで
    す。他人から評価されるのに喜びを感じ、そのこと
    に依存してしまう症状だそうです。
     当初はそんなことはないと思ってドクターストッ
    プを無視していましたが、1年たった今は主治医のお
    っしゃっていたことを感じています。

  4.  現在精神科のほかに内科にも通院をしており、高
    尿酸血症(痛風)、高血圧、高脂血症の薬を服用し
    ています。

  5.    私はまだ現役で働き、30年間続いている会社の
    社長をし
    ています。但し社員はいなく、一人で経営
    から営業まですべて行う個人企業です。
     両親(父は一昨年他界・脳血管性認知症)と妻の
    介護の忙しさから、仕事よりもどうしても家族の介
    護優先になります。10年前と比べると売上金額は
    1割になってしまいました。
     3年後に受け取れる年金も国民年金のためわずか
    な金額(月65,000円)ですのでまだまだ収入を得な
    ければならず、不安な状況です。


なんか、コピペしたのを読み返してみると、
すごく恥ずかしい状況。

消しちゃおうかと思ったが、
まあ、いいか。

これが現実だから。

でも、あまり悲壮感はない。
花子さんが初期から中期の時は、
不安と絶望感でいっぱいだったが、
今は、

まあ、なんとかなるだろう。

と、その日一日が無事で終わればなにより。

家族会のお手伝いも、生きがいを感じているし。


気分直しに、晩御飯。

花子さんは、インド風サバ焼定食。

サバ焼のインド風 

僕は、水餃子鍋。
前に作って冷凍しておいた手作り餃子を使った。
お酒は、黒霧島のお湯割り。
水餃子鍋 

 

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あけましておめでとうございます。

皆様の温かいご支援に、いつも元気を頂いています。

今年もよろしくお願いいたします。



下に添付したのは、
我が家の今年の年賀状です。
2009年から、二人の写真を載せている。

レイアウトは全く同じで、写真、コメントだけ、
差し替え。

だんだんと症状が進んでくると、
なかなか載せられる写真がない。

新年早々、届いた年賀はがきで、
認知症の進行状況を見せて、
受け取った方に、
辛い思いをさせては申し訳ないので、
今年はあきらめていた。

昨年11月に、二人で家族会に参加した時、
思いもかけず、笑顔満開で、
世話人の方が写真を撮ってくれた。

その写真が載っています。

昨年は喪中だったので、
一昨年に続き公開。


平成27年年賀状 


認知症介護家族には、
将来のこと、今年の抱負などは、
あまり、考えることができない。

良くなることはなく、
突然、いつ、何が起こるかわからないのが、
この病気。

この笑顔がいつまでも保たれますように。

それが一番の願い。



1月1日は、弟家族3人と、息子夫婦2人がやってきた。
久しぶりに、にぎやかな元旦。

みんなは、久しぶりに見るお袋の様子に、
ショックを受けてたみたいだけど、
現状は、しょうがない。

でも、お袋は、みんなが来てくれたと、
泣いて喜んでいた。


みんな集まるので、出来合いのお節セットを注文。

周りの、有頭海老の塩焼き、鶏の塩麹焼、卵焼きは手作り。

  お節1 お節2

でも、ここには、メイン料理が写ってない。

我が家のお雑煮は、けんちん汁。
前の晩から仕込んだ。

おふくろの味がなかなか再現できない。
タロウと弟のお嫁さん、子供は、

おいしい!!

と言ってくれたが、
弟とタロウは、

ちょっと、何かしら違うな~

と言う。
二人とも、生まれてからずっと食べていた。
舌の記憶は、正直だ。

けんちん汁 


14時になって、僕だけ、
毎年恒例の新年会へ。

親友5人とその家族が集まる。

今年は、40年間続いている1月1日の新年会で、
一番少なかった。

一組の夫婦は、インフルエンザで欠席。
それぞれの、子供、孫も来なかった。

8名。

でも、昔話と、大人の話で盛り上がった。

この連中と飲むのが、一番楽しい。
22時に、ようやくお開き。

弟家族が泊まってくれたので、
久しぶりに、安心して夜遊び。



ついでに、昨年からの
溜まっている晩御飯を。

花子さんは、クリームシチュー定食。
クリームシチュー定食 

僕は、豚肉の柳川風。
お酒は、前回と同じ春霞。
豚の柳川風 


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