8月30日のことです。
 
 
 
花子さんは、落ち着きを取り戻しているが、
起床後の30分は、
自分の居場所が分からない、見当識障害。
不安な精神状態からの、せん妄。
生まれた故郷で暮らしている、記憶の逆行性喪失。
がある。
 
でも、ゆっくりと着替え、
トイレに連れて行き、
水分を補給させ、
朝のひと時を過ごさせると、
落ち着きを、取り戻す。
 
 
 
その日は、朝が慌しかった。
 
親父を病院に送り、
付き添わなければ、ならなかったので、
ゆっくりとする時間が、なかった。
 
でも、忙しい中、
花子さんを座らせて、朝食を出す。
 
おいしい。
 
大丈夫そうだ。
 
ちょっと、ゴミを出してくるよ。
 
収集に合わせ、ゴミをまとめ、
1階の玄関まで、下りた。
花子さん、ランもついてきた。
 
ゴミを置いてくるから、ここで待ってて。

 
玄関の中で、待っててもらった。
 
目の前で、外から鍵を掛けると、
興奮してしまうので、
掛けずに、そのまま。
 
ゴミ出しを終えて、戻ると、
花子さんは、玄関の外に出ていた。
 
じゃあ、うちに帰るね。
 
ニコニコして、楽しそうに言う。
 
遠くて、歩って帰れないから、
あとで、車で送ってあげるよ。
 
いいよ、だいじょうぶだから。
 
門から、出ようとした。
 
いつもだったら、ここで、
ランの話をしたり、
お土産、着替え、兄弟のどちらに行くか相談、
等々・・・
ごまかしながら、徐々に、家に連れ込む。
 
でも、親父を病院に連れて行く時間が、
迫ってきた。
 
腕を持って、
 
さあ、中に入ろう。
準備したら、連れて行って
あげるから。

 
今までの笑顔が、急に変わる。
 
やめてよ! いくんだから!!

 
 
 
 
はじまってしまった・・・
 
 
 
 
大声を出したので、
親父と、お袋も出てきた。
 
大丈夫だから
 
と言って、家の中に入ってもらう。
 
 
 
親父、お袋がいると、
余計、興奮してしまう。
以前も、親父は、
 
俺と出かけなければいけないんだから、家に上がってなさい!!
 
お袋は、

花子さんが家に入らないなら、私も入らない!!
 
なんて、見当はずれのことを言う。
 
認知症なんだから。
現時点で、
パニックになっていることを、
受け入れて、
解決してあげなければいけない。
 
逆なでるだけだ。
 
 
 
 
いくら言っても、らちが明かない。
手を離すと、駆け足で、外に逃げ出してしまう。
一度見失うと、家に戻ることは、出来ない。
もう、家の場所は、分からなくなっている。
 
後ろから両腕を掴み、
家に、引き入れるしかない。
 
 
朝から、
悲鳴と、絶叫が響く。
花子さんは、最大限の声を出し、
助けを、呼ぶ。
 
 
ようやく玄関まで、連れてきた。
でも、玄関の扉と外枠に手を掛けて、
中に引きずりこまれないように、抵抗する。
 
僕は、中に入り、背後から、
力いっぱい引く。
なかなか手を、離さない。
 
何度か引いているうちに、
花子さんの手が、急にはずれた。
 
その勢いで、僕は花子さんを抱えたまま、
背中から倒れこむ。
玄関の、上がりかまちの角に、
背中を強打した。
 
痛みで、体が動かない。
 
 
それより、もし、脊椎を骨折したら、
花子さん、両親、仕事・・
どうなるのか。
横になりながら、そのことが、
真っ先に頭に浮かんだ。
 
 
花子さんは、僕の体の上で、痛がっている。
手は、まだ離さない。
ここで離して、外に出られたら、
もう、連れ戻すことは出来ない。
 
大きく息をしても、痛みは広がらなかった。
花子さんを、降ろし、玄関に鍵を掛ける。
 
体を動かしても、打撲だけで、骨は大丈夫そう。
 
花子さんを、2階に上げ、
僕は仕度をして、親父を連れて、
車で、病院へ出かけた。
 
 
 
 
今回の花子さんの混乱は、
すべて、僕の責任だ。
 
最近の、花子さんの体調の良さから、
少し、安心していた。
 
ランの散歩に出ても、機嫌が良く、
素直に家に入り、帰宅拒否はなかった。
 
玄関までついてきても、
待っていられると、思ってしまった。
 
背中の打撲も、そう。
両腕を掴んで、後ろに引いているんだから
花子さんが手を離せば、
転ぶのは当たり前。
 
玄関の、段の上の
玄関マットの上に、転がるはずだった。
 
僕の、判断間違えだ。
 
もっと注意をして、2階で待たせておけば、
こんな騒ぎには、ならなかった。
 
 
 
花子さんに、かわいそうなことをしてしまった。
 
 
 
この話は、あと2回続きます。




 
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コメント
スリブリさん
気力と体力がアンバランスになって来ると
自分でも予期できない結果になって、自分自身にいら立ってしまったりすることが有りますね

御自身の体調管理が絶対的に必要ですし
花子さんをはじめ、ご家族の皆さんへの危険予知のアンテナを研ぎ澄ましておかなければいけませんね、

毎度、口先だけの応援しかできませんが
頑張ってください。
2010/09/05(Sun) 09:18 | URL | tettyan | 【編集
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2010/09/05(Sun) 19:55 |  |  | 【編集
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